5月29日の北海道新聞朝刊『朝の食卓』と言う

コラムのページにJUNCOの記事が載りました。


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       『JUNCO』 高橋豊

 先日、ある催しで「JUNCO」という女性シンガー・
ソングライターの歌を聴いた。千歳を拠点に活動し、
アルバムを出したばかり。しばらく恵庭に住んでいた。
そんな自己紹介をして彼女は歌い始めた。
 
 夢を抱いて家を出たが、かなわずに数年が過ぎた。
「八月には戻れるのかい」と電話口で母。
「春には帰るから」と強がる。本当はすぐにでも帰りたいのに…。

 そんな内容の「春に帰る」と言う曲を聴くうち、
昨春、東京に就職したが、「最近うまくいっていないんだ」と
電話してきためいの顔や、受験に失敗し、新聞配達をしながら
予備校に通っていたころの自分の姿が浮かんだ。

 定年退職した彼女の父親を歌った歌「重ね日」は、
こんな歌詞だった。
♪言いたいことも言えない世界で、真正面から強い風が
吹いていた。あなたはすべて受け止めて、傷つきながらも
足を止めなかった。あきらめたりはしなかった。
投げ出したりもしなかった。ただ、自分らしさを貫き通す、
あなたがそこにいた。♪

 そんな言葉を娘からもらえたら父親冥利に尽きるだろうな。
仕事の挫折間がすぼみ、僕らの人生、捨てたもんじゃないと
思えてきた。

 演奏後、CDを買った。サインをした彼女に
「久しぶりに元気になれた」と言うと、「ありがとう」と
ほほ笑んだ。

               (キネマ塾塾生・恵庭)
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