8月6日、我々は159市町村目となる街、歌志内を訪れました。

かつて国のエネルギーを支える炭鉱の街として栄えてきた歌志内市。
昭和23年には人口がピークに達し、約4万6千人を記録しましたが、
エネルギーの主役が石油などに代わり、炭鉱は相次いで閉山。
それと供に人口もどんどん減っていき、今ではピーク時の1割程度。
日本一人口の少ない市としても 知られています。

そんな小さなまちに、ひっそりたたずむ悲別ロマン座。

昭和28年に建てられたこの施設は、映画上映や舞台公演、有名歌手の
歌謡ショーなどが催され、多くの市民が集まり賑わっていたそうですが、
炭鉱が閉鎖されてからは活用されることがなくなってしまいました。
昭和59年のテレビドラマ「昨日、悲別で」のロケ地として有名になりましたが、
その後も長い眠りについていました。

しかし、7年前から夏の間だけ喫茶店がOPEN。
時折、コンサートや舞台が開催され、少しずつ賑わいを取り戻してきていました。

この日は、屋内で公演予定だったのですが、あまりの天気の良さと、
屋外ステージの雰囲気の良さに魅力され、急遽会場を外に変更!
黙々とステージ設営しました。

が、やっと出来上がったところで、

ぽつ…ぽつ…ぽつ…
 
雨!!!

天気予報を調べると降水確率80%…。 

もう撤収不可能な状態にまで設営していた機材たち。
もはやこれまでか・・・と諦めかけましたが、これまで数々の嵐や吹雪を払いのけ、
一本たりとも公演を欠かしたことのない歌旅座の運気の強さの見せ所!
 
なんと、開演前には太陽が差し込むほどに回復!
無事、野外ステージでの公演が幕を開けました。

夜空に響く歌声とヴァイオリンの音色。
そこに輝く照明がいつもと違うロマン座のステージを演出していました。
20150806-DSC02023
20150806-DSC02040
ご来場の皆さんも、しっかりとステージを見つめ、
その世界観に引き込まれているようでした。
悲別ロマン座 守り人 藤田哲雄。
 
彼自身も歌志内に住んでいましたが、閉山と供にまちを離れた市民の一人でした。
数十年ぶりに帰ってみると、人はいなくなり、昔通ったお店も学校も全てなくなって
いたといいます。
そんな経験から、故郷をなくしてしまった人達の帰る場所を作ろうと、
7年前にロマン座をやっとの思いで復活させ、今もなお必死に守り続けています。

「歌志内に、ロマン座に来てくれてありがとう!」

何度も何度も言うフジタテツオさん。

故郷やロマン座に対する熱く、強い想い。
その想いが、なかなか来ることのできなかった歌志内市を一瞬にして
「友の街」にしてくれた、想い出深い夜でした。

また必ずロマン座でお会いしましょうね!

ご来場の皆さん、フジタテツオさんをはじめロマン座の皆さん、
本当にありがとうございました!


20150806-EM1B0071
写真:飯塚 達央