六畳一間のワンルーム。
ビジネスホテル並みに小さな冷蔵庫には
冷凍機能などあるわけもなく、
僅かばかりの水と 一切手を付けていない酒と栄養ドリンク。
ガス台も設置せず、唯一の調理器具は
ティファールの湯沸かし器。
もう音も出なくなってしまった電子ピアノと
地デジ対応にすっかり乗り遅れた ただの映らないテレビ、
今となっては 形すら見ることのないMDも聞けるコンポ、
うんともすんとも言わなくなったDVDプレーヤー…。

人生初の札幌暮らしは 旅の慌ただしさと共に
あっという間に過ぎていった。
部屋の真下はほぼ外という条件のおかげで
冬は ばあちゃんにもらった狼の毛皮をかけて
白い息を吐きながら眠った。 歩く時は床が冷たいせいで
必然的に盗人みたいな歩き方になる。
夏は夏で 灼熱の室温。腰が痛くなることを覚悟で
床に肌を密着させて なんとか眠る(まるでテレビドラマの殺人現場)。
化粧をしても家を出る時には もう取れていた。

旅から帰れば 『眠る』か『洗濯する』しかない。
洗濯機も持たなかった私は 一階に奇跡的に設置されていた
コインランドリーがマブダチ。
パンツと靴下とブラジャーと衣装。
洗う・眠る・旅する・洗う・眠る・旅する…

旅前に頂いた花は 帰宅するとすっかり枯れ果て
『あぁ いない間の邪気を吸い込んでくれてたんだな』と
良きこととした。

だとしても 大切な『帰る場所』であった。
共に戦っている気がしたんだ。8年戦っていたんだ。

今月、その部屋を出た。夏の引っ越しだ。
風呂とトイレが別!すごいっ! 和室!畳!ワオッ!
風通りイイ!最高!ガス台!土鍋で米が炊ける!ワオワオッ!
あの 硬い硬い床で眠っていた時と比にならない程の
超快適畳睡眠!腰も首も痛くない!!
…あぁ 泣きそうだ… 快適過ぎて 涙が出る…。

という訳で 今後のJUNCOは 身体に疲労が溜まりにくく
なる為 さらに 『北海道の大地のような』声を
響かせていくこと間違いありません。
つまり 元気です。

引っ越しで改めて思いました。
日本人が快適に生きるのに大切なものは 『畳』と『うまい米』だと。
あとは 心豊かに暮らせる仲間がいれば
この世界は かなり素敵であぁ~る。
畳部屋に YAMAHAのギターを置いたら やけにしっくりきました。
私の中にある 『和室ソング』が風鈴みたいに響いてます。

もう一度 『生きる』という意味を考えるにはイイ機会だ。

皆さんも 畳に足をほっぽり出して この夏
乗り切ってくださいね。

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