俺の名は『エンジ』。キャリーバッグだ。
JUNCOの相棒となって25年。そこそこ長いこと
一緒に旅をしている。
出会ったのはヤツが高校生の頃、確か地元のヨーカドーでだ。
可愛いキャリー仲間が売れていく中、俺のこの渋いエンジ色を
手に取ったのがJUNCOって訳だ。思ったね。『オッサンか』って。
修学旅行、上京時、オーストラリア…お役目としては
そんなにしょっちゅうご一緒する感じでもなかったけどね。

しばらく物置に放置された時間があったけど、なにやら
2009年位から出番が増えてきた。
やたらにぎやかな旅。車の中で、他のキャリー連中と
ぎゅうぎゅう詰めになって目的地へ向かう。
『お前、どこのもんだっ?』『日高よ』『小樽ぞ』
『中野だろぉめぇ』『シンガポールだわ』◎▽※♪●◇■※…
乗ってる連中もにぎやかだが、バッグもにぎやかだ。
そして日本全国の多種多様な道々を、俺様のこの軽快な
フットワークで駆け巡ってきた。

旅が始まった頃は、JUNCOのヤロウ、俺の身体がちぎれそうな位
パンパンに荷物詰めやがって、俺の大事なチャッキーも
限界値まで引っ張られていた。
時には、中で粉ものこぼされたり、汁ものもこぼされたり
油ものをこぼされたり、ヒドイもんだよ。
ホテルに着いたってのに、中を開けずに翌朝 吐きそうな顔で
そのまま閉じて連れていかれたこともある。
今はまぁ なんと荷物の少ないことか。大分旅慣れしたようだ。

不思議なもんで、その時のヤツの調子は 取っ手を掴むニュアンスで
分かる。元気な時、嬉しい時、疲れた時、悲しい時…
分かるんだな、これが。
でもよ、毎日元気なやつなんていないからな、なんか人間らしくて
イイよなって思う訳。
俺はこの通り、割と丈夫に出来てるから まぁうまいこと
ヤツの今後の旅も一緒について行ってやろうかななんてね。
中でなにかとこぼされるのは御免だけどね。

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キャリー仲間も増えたり、減ったり。
『おめぇんとこのご主人は、中身キレイでイイよなぁ』
『あなたのところ、ヒドイわね』
『もう、耐えられねぇよ』
(消火器5本入っているかのような重さの司会太郎のキャリーが
嘆いている)

ま、実際大事なのはよ、鞄には詰められない心の荷物は
沢山持っていこうぜ って話よ。
俺もそんな旅にご一緒出来て 言いたくねぇが
幸せだね。