北海道も初冬を迎え、冷え性ぎみでしたが、
平均気温30℃のタイで回復しているアリーです。
サワディーカップ。
11日夜はライブバー「円山夜想-マルヤマノクターン」
15周年記念・タイフェスティバル「メナムの晩餐会」。
仕入れも順調、ご来場の皆さまお楽しみに🎵

さて今回のバンコク通信は、「円山夜想」(通称:マルノク)
の歴史を4回に渡って振り返ってみることにする。

第1章・エイジアンブルーの誕生
2003年春。
「この辺りにメシの後に行きたくなる店がないな」
マルノクの誕生はBOSSのこんなつぶやきから始まった。
オフィスのある札幌・円山界隈は閉店時間が早く、
心地良く語り合いながら呑める、いわゆる「2軒目」がない。
だったら社員の福利厚生も兼ね、自分たちが行ける
場所を作ろうじゃないかと。

ちょうどそんな頃、裏参道を通りかかると「テナント募集」の張り紙が目に飛び込んできた。
どうやら円山マダム御用達のブティックが店閉いをしたらしい。
(ここが今のマルノクになった場所だ。)
内見すると程よいスペースで内装はこちらで自由にと。
すぐに契約することに。

かくしてプロジェクトが立ち上がった。
店名は、『Asian Blue エイジアン・ブルー』
コンセプトは、アジアのリラクゼーション空間。
フード・ドリンクそして音楽にこだわり、
航空会社のファーストクラス並みの接客サービス。
そして我々スタッフたちの癒しの場。

まず手掛けたのは「箱づくり」。
店内の改装にすぐに取り掛からなくてはならない。
家賃が発生するためやはりプロに任せようと、
当時北海道内で売れっ子の店舗設計会社へ依頼した。
ところが思惑とは裏腹に、見当違いのデザインしか上がってこない。
内装費用もべらぼう。
人に頼むのはやめて「とことん自分たちでやってみよう」
とBOSSを隊長に4名のエイジアンブルー(略してAB)チームが結成された。
この日から怒涛の日々が始まることになる。

ABチームは昼夜問わずテーブルを囲み鉛筆をナメナメ図面作り、
資材選び、運営計画に没頭した。
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(当時のファイルと手書き図面)
時間は資材調達から完成までを含め約2か月半。
すぐに必要なのは、内装を手掛ける職人さんたち。
付き合いのある設備屋さんから、
「腕のいい大工がいるよ」と紹介して貰う。
やってきたのは腕っぷし強そうな強面の大工さん。
今では歌旅座の舞台道具でもお世話になっている
「新琴似のブルースウィリス」の異名を持つSさんだ。
このときが初対面。
Sさんは早速馴染みの職人さんたちに声をかけチームを結成。
準備に取り掛かることに。

我々は建築資材と備品調達のため飛んだのがここタイだ。
当たりのつけていたソファや装飾台を、バンコクのヤサにしている
ホテルに仕入先を問合せ、オーダーメイド。
日中は、茹だる暑さのウィークエンドマーケットを巡る。
いまでも店のシンボルになっているチェンマイの装飾品(ゲサラック)も
このとき出会ったものだ。
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都内のホームセンター、郊外の工場など歩き回り、
タイル、床板、カウンター大理石、テーブルや椅子、厨房内のシンク
やトイレの便器まで仕入に奔走した。
タイ調達の旅は実に3回、40フィートのコンテナ1台分。
苫小牧港に貨物船が到着するころ、現場では解体作業が始まっていた。
いよいよ工事が始まる。
ABチームの心は高鳴っていた。

ここからは大工Sさんを現場監督に作業が進む。
何もないところからの工期は約1ヵ月半。
ABチームの作った手書きの図面と色鉛筆のデザイン画を手にした
職人さんたちにより、思い描いていたものがひとつひとつ出来ていく。
あるときは、現場でアイデアが出て予定よりもいいモノになっていく。
徹夜作業で対応してくれ、立ち会いながら我々も出来ることは一緒に現場作業をする。
カウンター棚の壁紙張りやタイル張り。スピーカーの配線。
装飾品の作成などなど。
一番力をいれていたバーカウンター。チームのイメージ通りに
仕上がったのは感動的であった。
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このとき、大工のSさんが言っていた言葉が印象に残る。
「人が出来ることはやってみれば何でも出来るっしょ」
モノづくりの情熱を教えてもらった気がする。

昼夜共に過ごしてきたSさん現場最後の日。
「いい経験をさせてもらいました」と挨拶に来てくれた。
屈強な男の目に光るモノが見えたときは、思わずもらい泣きしそう
であった。。
こうして想いが詰まった「箱」は完成した。
これからはオープンに向かって始動する。

話は変わるが、マルノクにはエイジアンブルー時代からの掛け軸が
今も飾られている。
BOSSが世界中旅をしていたとき北京で極秘ルートから手にいれた代物。
なんとラストエンペラー-愛新覚羅溥儀の弟・溥傑の書作。
鑑定に出したところ、どうやら本物らしい。
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繊細ながら真があり、遊び心も感じる書体だ。
大意は次の通り。

すぐれた詩人が勢いに乗って詩を作れば、
心はめぐって変幻自在の変化を見せるものだ
詩を通じてそのような文人の友とめぐり会えば
文芸の世界は遊んでいて際限がない

目的を持ち突き進めば、変幻自在のアイデアが生まれ、
同じ志を持つ友とめぐりあい、楽しい日々は果てしない。

偶然にも何だかエイジアンブルーの誕生までのことを
言っているような気がする。
(次回2章に続く)