かつて日本は肉を食らうことが禁止されていた。
何百年もの間。食べたもんなら『穢れてる』なんて
言われて。
(こっそり食べてた人もいたみたいだけど)
『ウシさん』ではなく『牛のヤロウ』だったんだね~。
今じゃ全く考えられない。
肉のない暮らしなんて…。
干した肉を薬代わりに使用してたことはあるみたい
ですけど。
明治になって『日本人はこのままじゃいかん、弱くなってまうっ。
肉食べて体作らなっ』と、肉(主に牛肉)が解放されたみたい
だけど、ずっと肉なんて食べてこなかったのに、いきなり『食べぇ』
言われたもんだから、しばらくは神様仏様に手を合わせて
『スンマセンスンマセン』と唱えながら無理やり食べてた人
も多かったみたいです。

いつの日だったかツアー中のご飯が野菜しかない料理が出て、
全員で『なんか、イイ人になっちまいそうだな』
と言ったことがある。
食べ終わった後に、窓の外に見える落ちゆく葉を
無言で眺めちゃったりした時は『あぁ、食ってこんなにも
人を変えてしまうんだな…』と微妙な気持ちになったのを
覚えている。
生涯そういう食生活をしていた人達は一体どんな性格
だったんだろう。毒のたまらない身体はさぞかし白く
美しいものだっただろうけれど、栄養価の低さから
身長も伸びず、身体の弱い人も多かっただろう。
(河井継之助だって150センチ程しかなかったもん)
そのかわり魚を沢山食べていたから、頭はクリア。
『頭のキレるちっちゃい人達』が昔の日本を支えていたのだ。

それを考えたら今の食は本当にすごい。
すき焼き、豚しゃぶ、ジンギスカンにチキンカツ、
鹿に熊に猪(北海道には居ませんが)毎日選び放題。
仏壇に手を合わせながら食べることもない。
おかげさまで身体つきもどんどん良くなって。
オリンピックでメダルだって取れちゃうんだもの。
そしてお肉が重くなってきたら、野菜に魚にと
『栄養の無限ループ』が日本にはある。すごい。

_20190117_160006


歌旅座の体力もやはり全国各地の食で成り立っている。
『頭もキレて力もあるおっきな人達』が増えてきた今、
その力を何に使うか。
いやしかし肉を解放してくれて本当に良かったス。
おかげさまで白老の美味しい牛も宮崎の最高の地鶏も
食べることが出来る。
幸せです。