ごきげんいかがですか。
司会太郎です。
んー。
いい陽気、いい気温、いい季節になりました。
では、今回の質問を。
英語を勉強してます
でも、ちっとも覚えられません
太郎さんは、いくつもの外国語を理解すると聞きました
どうすれば、英語を身につけられますか
(13歳/女性/中学生/秋田県)
中学生からの質問は初めてです。
いつもは60〜80歳代からなので、困惑しています。
少女に対してどんな対応をしていいのか。
この子の将来を台無しにしてしまわないだろうか。
でも、可能な限り誠意をもってお答えしましょう。
あっしは確かに、8ヶ国語程度を駆使できるわけですが、
英語がもっとも簡単です。
アルファベットなんて、たかが26文字の組み合わせです。
洋楽や映画、商品名、インターネットのサービスなど、
巷には英語があふれていますので、
単語を習得するのにもこと欠きません。
前回の「五里霧中」でもわずかに触れましたが、
映画『ゴッドファーザー』をそのまま『神父』と訳すると、
物語の内容とまったく異なった印象を与えます。
キリスト教を由来とする「名付け親」「教父」という
意味を知っていたら間違いはないのです。
ところが、音楽——洋楽の日本語タイトル(邦題)には
珍妙なものが多いのは知られています。
たとえば、1981年にカントリー歌手のロニー・ミルサップ氏が
米国でヒットさせた「(There's) No Gettin' Over Me」という曲。
直訳は「私を乗り越えること(もの)はない」という意味ですが、
日本発売の際、どういうわけか「ゆるしてダーリン」という邦題に。
当時、1週間ほど呆然として過ごしました。
もっと言えば、1964年のザ・ビーチ・ボーイズのシングル盤、
「When I Grow Up」という曲。意味は「僕が大人になったら」。
これが邦題「パンチで行こう」ですよ、奥さん。
いたたまれなくて走り出したくなります。
ちょうどこの年に若者向け雑誌『平凡パンチ』が創刊され人気となり、
当時のレコード会社の担当者が、「若者っぽくて、いいじゃん」と
のんきにタバコでも吸いながら決定したに違いありません。
これらとは別に、うまい邦題もあります。
1979年のヒット曲、ザ・ドゥービー・ブラザーズの
「What A Fool Believes」。
この「What」は関係代名詞ちゅーヤツ。
ウチらの中学生時代の授業ではこれを
「1人の愚か者が信じるところのもの」なんて
直訳するのでしょうが、気持ち悪い日本語ですね。
そして、この曲の邦題は「ある愚か者の場合」。
日本の洋楽ファンのあいだでは、
極めて評価が高い日本語タイトルとして知られています。
曲の内容は、彼女にフラれても現実を直視できずに、
未練たっぷりで諦められない、ある男の話。うーむ。
中学で習った英語とまったく異なる意味がわかったことも。
1965年、現在も存分に活躍中のザ・ローリング・ストーンズ。
邦題「サティスファクション」の原題は「(I Can't Get No) Satisfaction」。
ふつうに訳すると「オレは満足できないことはないぜ」。
二重否定ですね。違和感たっぷりで、落ち着かない気持ちになります。
でもそう習ったから、これで正しいと無理に信じていました。
しかし、20歳を超えたころ、初めて知りましたよ。
これは米国の黒人が日常で多用してきた表現で、
白人たちも真似するようになったそうで。
意味するところは「オレはちっとも満足できねえぜ」。
この場合、「Can NOT」+「NO」で否定をさらに強調するんですと。
奥さんもびっくりポンでしょう。
ところで、ヴォーカルのミック・ジャガー氏は75歳。
先ごろ心臓弁手術をしましたが、
無事に退院するとダンスの練習を始めたんですと。
彼は満足できないことはないぜ。いや、彼はちっとも満足してねえぜ。
音楽や映画の原題だけでも、英語を学べます。
歌詞や原語のセリフを追求すると、もっともっと。
英語に疲れたら、日本の音楽に戻ればいいのさ。
たとえば、フォークソングなんてどうですかね。
北海道歌旅座の新譜『ザ・フォークソング』、好評発売中です。
通信販売でもお買い求めいただけます。
英語タイトルは『The Folk Songs』。
複数形の「S」が付いてますので、
CDには1曲だけではなく16曲収録しています。
コマーシャルも付いたところで、
ごきげんよう。
司会太郎です。
んー。
いい陽気、いい気温、いい季節になりました。
では、今回の質問を。
英語を勉強してます
でも、ちっとも覚えられません
太郎さんは、いくつもの外国語を理解すると聞きました
どうすれば、英語を身につけられますか
(13歳/女性/中学生/秋田県)
中学生からの質問は初めてです。
いつもは60〜80歳代からなので、困惑しています。
少女に対してどんな対応をしていいのか。
この子の将来を台無しにしてしまわないだろうか。
でも、可能な限り誠意をもってお答えしましょう。
あっしは確かに、8ヶ国語程度を駆使できるわけですが、
英語がもっとも簡単です。
アルファベットなんて、たかが26文字の組み合わせです。
洋楽や映画、商品名、インターネットのサービスなど、
巷には英語があふれていますので、
単語を習得するのにもこと欠きません。
前回の「五里霧中」でもわずかに触れましたが、
映画『ゴッドファーザー』をそのまま『神父』と訳すると、
物語の内容とまったく異なった印象を与えます。
キリスト教を由来とする「名付け親」「教父」という
意味を知っていたら間違いはないのです。
ところが、音楽——洋楽の日本語タイトル(邦題)には
珍妙なものが多いのは知られています。
たとえば、1981年にカントリー歌手のロニー・ミルサップ氏が
米国でヒットさせた「(There's) No Gettin' Over Me」という曲。
直訳は「私を乗り越えること(もの)はない」という意味ですが、
日本発売の際、どういうわけか「ゆるしてダーリン」という邦題に。
当時、1週間ほど呆然として過ごしました。
もっと言えば、1964年のザ・ビーチ・ボーイズのシングル盤、
「When I Grow Up」という曲。意味は「僕が大人になったら」。
これが邦題「パンチで行こう」ですよ、奥さん。
いたたまれなくて走り出したくなります。
ちょうどこの年に若者向け雑誌『平凡パンチ』が創刊され人気となり、
当時のレコード会社の担当者が、「若者っぽくて、いいじゃん」と
のんきにタバコでも吸いながら決定したに違いありません。
これらとは別に、うまい邦題もあります。
1979年のヒット曲、ザ・ドゥービー・ブラザーズの
「What A Fool Believes」。
この「What」は関係代名詞ちゅーヤツ。
ウチらの中学生時代の授業ではこれを
「1人の愚か者が信じるところのもの」なんて
直訳するのでしょうが、気持ち悪い日本語ですね。
そして、この曲の邦題は「ある愚か者の場合」。
日本の洋楽ファンのあいだでは、
極めて評価が高い日本語タイトルとして知られています。
曲の内容は、彼女にフラれても現実を直視できずに、
未練たっぷりで諦められない、ある男の話。うーむ。
中学で習った英語とまったく異なる意味がわかったことも。
1965年、現在も存分に活躍中のザ・ローリング・ストーンズ。
邦題「サティスファクション」の原題は「(I Can't Get No) Satisfaction」。
ふつうに訳すると「オレは満足できないことはないぜ」。
二重否定ですね。違和感たっぷりで、落ち着かない気持ちになります。
でもそう習ったから、これで正しいと無理に信じていました。
しかし、20歳を超えたころ、初めて知りましたよ。
これは米国の黒人が日常で多用してきた表現で、
白人たちも真似するようになったそうで。
意味するところは「オレはちっとも満足できねえぜ」。
この場合、「Can NOT」+「NO」で否定をさらに強調するんですと。
奥さんもびっくりポンでしょう。
ところで、ヴォーカルのミック・ジャガー氏は75歳。
先ごろ心臓弁手術をしましたが、
無事に退院するとダンスの練習を始めたんですと。
彼は満足できないことはないぜ。いや、彼はちっとも満足してねえぜ。
音楽や映画の原題だけでも、英語を学べます。
歌詞や原語のセリフを追求すると、もっともっと。
英語に疲れたら、日本の音楽に戻ればいいのさ。
たとえば、フォークソングなんてどうですかね。
北海道歌旅座の新譜『ザ・フォークソング』、好評発売中です。
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英語タイトルは『The Folk Songs』。
複数形の「S」が付いてますので、
CDには1曲だけではなく16曲収録しています。
コマーシャルも付いたところで、
ごきげんよう。