年間150本の全国公演。たった2時間のステージだが
そこには舞台仕込みから出演、機材の撤収までの目まぐるしい
ドラマが毎回繰り広げられている。
今日は決して客席から見ることのできない楽屋の裏側をちょっとだけ
覗いていただこうと思う。

冒頭に赤いジャケットを羽織り、いち早くステージの前に立って
お客様を迎える歌旅座専属司会者【司会太郎】。
楽屋に入る否や、自分の陣地を決め、目一杯荷物を広げて身支度にかかる。
今まで着ていた服、これから着る衣装、メイク道具、整髪料、育毛剤?
などなど所狭しと並べ、彼の時間が始まる。
私たちから見ればぐちゃぐちゃに置いてあるように見える物たちも、太郎さんに
とってはあるべきところにあるもの。
50歳独身男性のこだわりに逐一口出ししてはいけないのは暗黙の了解だ。

それはさておき、司会太郎にはもう一つの顔がある。
その顔は第一部に出番のないプログラムの時に現れる。
客席へと足を伸ばすJUNCOや、「昭和枯れすすき」を熱唱する
”サクマと秀哉”に光を当てるピンスポットマンだ。
冒頭でお客様へのあいさつを済ませると一目散に4階、または5階まで
続く階段を駆け上がりピンスポルームなる場所から目標を定めて投光。
1部が終われば、休憩のMCがあるため休んじゃいられない。
登りで痛めた膝をかばいながら階段を一気に降り、何もなかったように
ステージに立つのだ。
2部頭に「石狩挽歌」があるときはせっかく降りてきた階段をまたダッシュで
登らなければならない。
足腰は誰よりも強いはず。まだまだイケてます。誰かお嫁に来ませんか。
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その一方でアリタさんは小綺麗に自分のテリトリーを作り身支度を整える。
顔にはファンデーションを塗り、りりしい眉毛を更にりりしく、大きな目を
更に大きくするため鏡に向かって奮闘している。
はじめは慣れなかった手つきも、最近じゃ小指を立てながら、楽しんでいる
ようにさえ見える。
今は毎月タイへの買付のついでに、スクラブマッサージもしてるらしい。
(何かに目覚めたのだろうか…)ふとよぎる思いは自分の中に留めておこう。
洋服から和服に着替え、一部が終わると客席で物販。これまたバタバタ。

JUNCOさんもまた机の上をキレイに使う人だ。
そして、きれいに、ばっちりとメイクを施す。髪の毛だって自分でまいて
セットしている。
そして舞台では力いっぱい歌い続ける。
しかし、一部が終わると頭皮から汗が流れ、顔も頭もびっしょり。
せっかくセットした髪もメイクもどこへやら。
生まれたての子牛を思わせる風貌に思わず笑いがこみ上げるが、それも束の間。
短い休憩時間で衣装を変え、メイクを直し、まっさらにした状態でまたステージへ
颯爽と向かっていく。
その姿は結構カッコイイ。

私も同じくばっちりメイクを施すのだが、なんせ衣装替えが多い。
それに伴って髪型も変え、メイクも変えなくてはならないため
いつでも慌ただしい。

特に今回の九州ツアーはステージよりも裏での方が汗だくだった。
ベレー帽から始まり、ドレス、着物、再びベレー帽に七変化しなければならない。
全て時間との勝負だから着替える場所なんて選ばない。男性陣がいても
ステージに一番近い楽屋に陣取り、その場で服を脱ぎ捨てる。
その場に運良く(?)遭遇してしまった司会太郎が「あ、ごめん」でもなく
「チッ ! 」と舌打ちした意味を問う間もなく、「だから結婚できないんだ ! 」
と捨て台詞を吐き自分も独身であることを顧みる間もなくステージへと走らなければならない。
1部が終わると楽屋に泥棒が入った後のような惨事だ。
それをまた片付け、休憩の物販へと繰り出す。

舞台裏ではこんなドラマがいつでも繰り広げられている。
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関東、九州ツアーを終えてオフィスに戻ると嬉しい手紙が届いていた。
コンサートを観てくれたお客さんからだった。

~現在の世の中 社会の悲しいニュースばかり。心なき世の中になり
人間が人間らしくというのがどこかに消え去りつつある今。
淳子さんたちの歌声はどれほど一人一人が心癒されるか。
中略
多くの人に触れてもらいたい 元気に生きて欲しい 久しぶりに
”本物”に出会えた気がします~

そこにはこんな想いを綴ってくれていた。

あなたに会うために
この旅は続く。
あなたに会えたからこの旅は続く。

慌ただしく汗臭い楽屋裏。
普通なら面倒なサイクルも、ひとつの感動さえあれば
私たちに欠かすことの
できない輝く時間となる。
向かっている先は、いつでもお客さんの喜ぶ顔。
観に来てくれた人たちには毎回思いきり楽しんで欲しい。