例年になく夏が長かった北海道。
道内のある温泉宿に一泊したのは、まだまだ暑かった9月末。
客室もお風呂も海に面していて、日中は太陽を全身に浴びながら、夜は星空に包まれて
お湯に浸かり、仕事で行ったにもかかわらず寛いだ時間を過ごしました。

一緒だった友人は何度か泊まったことがあり、「必ず朝日を見た方が良い」とのことだったので、前夜遅くまで飲んだことを少し反省しつつ目覚ましを止めて、
窓辺でぼんやり暗い海を眺める。

そのうち遠く東の空と海の間に光が滲んでくるのだけれど、目の前はまだ闇に月が光り、
時間が止まったようにしんとしている。

夜明け、と聞いて“感じたい”と思うのは、朝に向かって動き始める世界よりも、
あと僅かの時間しか残されていない闇の方。朝日が昇れば、さあっと消えてしまう、
儚いあの感じが忘れられない。
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明日からの長いツアーの中で、私は初めて行く、楽しみな場所があります。
ダムのすぐそばにある、やきとり太郎という飲み屋さん。
「夜明ダム」だなんて、名前がいい。駅もあるんですね、夜明駅。
文字を見て景色が広がる面白さは、日本語ならではだなと思います。

「酔のさめかけの星が出てゐる」
「あけがたとろりとした時の夢であつたよ」
「をそい月が町からしめ出されてゐる」
尾崎放哉句集より

「咳をしても一人」聞いたことがあるような、ないような。
俳句集を買うのも初めてで、読めない漢字もあったりするのですが、
とろりと、がすごく気持ちよさそうだったり、しめ出されてゐる、に静けさを感じたり。
自分の思うように情景を浮かべて、その感情に浸れるのが愉しい。

「墓のうらに廻る」…廻ってどうしたんだろう…と、素養のない私には理解に苦しむ句も。
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いくつか用意する旅の本、一冊はこれを持って行こう。

1ヶ月、たくさんの人に会う。
目と心を開いて、しっかり弾いてこようと思います。