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【時には昔の話を】
第3回目は『ケ・サラ~故郷の風のように』
北埜うさぎがお届けいたします。

歌旅座テレビのミュージックビデオの中では群を抜いて
再生数が伸びている。
You Tubeで「ケサラ・動画」と検索すると 幅広い
ジャンルの方々がこの曲をアップされているのだが、
我が歌旅座の曲もかなり上位?の方で目にすることが
できる。これはやはり、この『ケ・サラ』という曲が
多くの人に愛され、歌われてきたからだろう。
幾つか寄せられたコメントの中で、JUNCOの歌唱・
歌唱力への賛辞は至極当然なのだが、訳詞にもお褒め
の言葉が書かれているものがあった。
嬉しかった。
先日のブログにも書いたが『明日』という曲はタイの
教会で唄われているものとは異なる私独自の歌詞を
のせたものだが、訳詞という形に初めて挑戦したのが
この『ケ・サラ』だ。

1971年、イタリアのサンレモ音楽祭で準優勝を受賞
したこの曲は、元々、貧しい自国での暮らしを嫌い、
不安に怯えながらも故郷を旅立つ若者の心の揺らぎ
のようなものが描かれている。
オリジナルの色合いを損なわないように言葉を紡いで
いく作業は苦しくとも楽しく、楽しくとも苦しかった
ことを憶えている。
特に思い悩んだのが "ケ・サラ"という言葉。
これをどうとらえようか。
ケ・サラ・サラはよく知られているように「なるよう
になる」というポジティブな意味合いを含めた言葉が
ぴったりらしい。
でもケ・サラは「どうなるのだろう?」という不安が
勝る感情を表した言葉だ。
どう表現しよう?
私は、このオリジナルの詩に、60~70年代多くの若者
たちが東京に憧れ、夢を抱いて上京し、けれどもまた
多くの若者たちが叶わぬ夢のかけらを抱いて挫折して
いった姿を重ね合わせていた。
すべて思い通りに進んでいく人生なんてあるのだろうか?
夢が大きければ大きいほど、多ければ多いほど思い通りに
ならないことが増えていく。
それを受けてとめて、飲み込んでこそ人生は進んでいく。
『思うようにはならない』
そう。自在に風は操れない。
人知の及ばぬ形で吹く風は厳しく、そして尊い。
そんな思いを込めて、人生を故郷に吹く風に例え
「思うようにはならない」という言葉をあてはめた時、
この曲は完成した。
オリジナルの詩と向き合い苦しみながらも納得して
書き上げたものだっただけにYouTubeのコメントに
書かれていたお褒めの言葉は、ほんとに、ほんと~に
嬉しかった。

ーーーーというのが今回のほんの少~し昔の話。



この曲を歌うJUNCOが私は大好きだ。
何度聴いてもその度に違うケ・サラを私に見せてくれる。
JUNCOもまた、故郷に吹く風が同じようでいて決して
同じ風ではない様に、その日、その時ならではの「ケ・サラ」
をぶつけてくれる。
だから歌旅座公演に立ち合える時、どんなに離れていても
できるだけ真正面でこの曲を受けとめるようにしている。
"さぁ、JUNCO、今日はどんなケ・サラを見せてくれるの?"
私にとってのとても贅沢で倖せな時間。

一日も早くこの贅沢な時間を手にすることができますように、
そう願って 不要不急の外出を控え、手洗い・うがいに
勤しむうさぎでした。