十五夜の芋煮を食べて旅に出た。
旅のお供に、種田山頭火の句集を持っていった。
小さなノートとペンも。
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雑草のように生きていたいという山頭火の言葉は
『コスモスのように』という母さんの生き方と
重なり、心にすうっと入ってくる。

飛行機に乗ったことのない山頭火は、雲の上で
一体どんな句を詠んだだろうなんて考えながら
(そもそもあっても乗らなかったかも)
機内でペンを走らせる。インチキ淳頭火。
『雲の上でおにぎりを食らう』
うさぎさんが握ってくれたパワーボールを
あむあむと頬張る瞬間はワタシの大好きな時間。
未知の世界である機内でしっかりと瞳を開いて
母に抱かれる『泣かない赤ちゃんキリリと』
窓の外では太陽が世界を照らしている。
でも『太陽は歌わない ワタシは歌う』へへ。

『知らずに去ってゆく かゆい』
蚊のヤロウも生きる為とは言え、困ったもんだ。
(ちなみにナリコがよく刺される)
都会では『足裏の感触がつまらない』
『草を分けてゆく道も見つけ難し』
整っているというのは、それはそれでつまらない。

『明日着る服を洗っている』
旅はシンプルに、ただ魂が歩くだけで
成り立つのかもしれない。
お酒も呑みます。
『昔の人に伝えたい 麦は今飲み物』
呑み過ぎれば『はれた顔 朝ごはん少し』

もちろん車にも乗らなかった山頭火。
今はみんな乗ってますヨ。
『あちこちのナンバーまえうしろ』
田舎道を走れば、畑仕事に皆忙しく、軒先には
『働き者の手ぬぐいゆれている』
京都縦貫道を走れば私たちは
『京都を縦に突き抜けている』
そして『彼岸花の紅色くすむ頃 別の町へ』
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これと言って心を打つ句な訳ではないのですが
旅の匂いはほんの少しするかしら?
元々、なにかをじっくり観察するのが好きなので
それをうまいこと言葉に出来たらいいのですが、
なかなかそううまくはいかないですね。
『美しい』を違う言葉で表現したい、
『嬉しい』感じを違う言葉で…と探す作業は
悪いもんじゃないなと思います。
この先も、楽しみながら愚作を作っていこう。

最後に、私の好きな山頭火の一句を。
『はだかで話がはずみます』