長年私達に連れ添ってくれたアルファード
(通称:アルフィー)が、今12周年を前に
息絶えようとしている。
乗用車にしてはありえない40万キロ近くの
走行距離をひた走り、私達の旅を
支え続けてきてくれた最高最強の『相棒』

数年前は、東北を走行中に暖房が効かなく
なり、仙台のインターを降りた時、アルフィーは動かなくなった。
すぐそばのコンビニで、カップスープを
すすり暖をしのいだ。
あの場所まで動いてくれたのは、彼の
根性と愛情だろうと感じている。
そのあとは福島にて心臓(エンジン)移植。

よく毎回車検通るなと思うほど、
車体はボロボロ。
バンパーは針金でくくり、見た目も
気にせずビスを何発も打ち込んでいる。
ドアは悲鳴のような声をあげて開く。
こちら側も右腕の力を最大限に振り絞って
こじ開ける。
時にはハンドルが重くなり、病院に
ピットインさせるが、医者たちは口を
揃えて『時間の問題だ』と言うばかり。
2020年末から始まったツアーでは
遂に妙な煙を出すようになり、
車内のエアコンからは人体に絶対影響を
及ぼすであろう空気が流れこんだ。
漏れたオイルがエンジンタンクで熱され
煙を出していたのだ。
ケーゴは、まるで看護師のように
これまたなかなか開かないボンネットを
こじ開け、漏れたオイルを拭いてやる。
『もう少し頑張ってくれよ』
『一緒に12周年迎えようぜ』
まるで 全員の気持ちを分かってるかの
ように、アルフィーは無言でくらいつく。

各地でレンタカーを借りる度、
アルフィーの心地よさを実感していた。
長年連れ添ってきたマブダチならではの
安心感がそこにあった。
車内でいくつものアイデアも生まれた。
いくつもの物語を、共に創ってくれた。

アルフィーの満身創痍の姿は
私達に語りかける。
夢があるから走っていけるのだと。
ボロボロだって、オンボロだって
走っていけるのだと。
まだいけるだろ?と。
俺の見たかった景色を、これからも
見に行ってくれ。
これはお別れなんかじゃないぜ。
まだ 続いているんだ。

旭川まで、一緒に行こうねアルフィー。
満員御礼の会場の外で、人々の命の
力強さを聞いていてね。
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君の窓から見た景色は
全て美しかったよ。