『北海道・失われる鉄路への鎮魂歌』シリーズ第2弾が完成しました。
写真家 飯塚達央氏からの寄稿文です。

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【さよなら根室本線】飯塚達央
2024年3月末に北海道の鉄路がまた一つ消えようとしています。
根室本線の富良野ー新得間は芦別岳を背景に、
空知川に沿うように走りトンネルを抜け、
かなやま湖畔を縫って進む風光明媚な路線です。
そこに国鉄時代のディーゼルカーがのんびりと進んで行きます。
青いモケット地の柔らかいシートに腰を下ろし、
エンジンの鼓動を感じながらの小さな旅も間も無く終焉です。

いやあ〜寂しいですね。大阪の鉄道少年だったぼくは、
北海道のまるで血管のように張り巡らされた鉄道の路線図に目を奪われ、
時刻表をたぐっては、いつか全線走破したいと憧れを抱いていたのでした。
まさに国鉄王国だったのですから、かつての北海道は。

1996年に北海道に移住して以来、ふるさと銀河線、江差線、
留萌本線(増毛—留萌、留萌—石狩沼田)、札沼線、夕張線と
立て続けに見送って今回さらに根室本線(富良野—新得)です。
かつて札幌と道東を結ぶ重要な幹線だったので、
根室本線の廃止にはなお一層の哀愁を感じます。

そんな思いで撮ってきた写真を鉄チャン同志の
下谷淳蔵さんが作ってくれた音楽とともにご覧ください。
高杉奈梨子のバイオリンも華を添えてくれています。
5分間ほどの短い旅ですが、根室本線の富良野—新得間のラストラン、
目と耳でご堪能ください。