北海道歌旅座コンサートスケジュール

歌旅座テレビ

カテゴリ : 司会太郎

ごきげんいかがですか。
司会太郎です。


9月17日は敬老の日。
あっしは2月29日を除いて、365日間、敬老していますが 
この日は2回目となった富士吉田市での公演でありました。
会場は今回も富士吉田市民会館。
IMG_0862


面白いことに、前回の公演にもお越しいただいたお客様と
初めて歌旅座を観に来てくれたお客様が、ほぼ半数ずつ。
しかも、JUNCOの親戚ご家族や来月の公演主催者の方も
足を運んでくれました。
IMG_0858


なかでも、歌旅座が九州でコンサートする際には
必ずといってよいほどご来場いただく宮崎県のHさんが、
(Hさんはイニシャルですよ。趣味や性格のことではありませんよ)
富士吉田に現れたのにはうれしい驚き。


そんなお客様をお迎えして、
『敬老の日記念特別公演〈北海道は元気です〉昭和のうたコンサート』
大いに盛り上がったのでした。


本番中にも申し上げましたが、
北海道はステキな季節が到来しています。
ぜひお越しください。
道内各地の行楽地、ぶっちゃけ空いています。
なので良いチャンスですよ。


歌旅座も今回、富士吉田と流山からいただいた
「元気」を土産に北海道へ帰ることができました。
IMG_6692



最後に、富士吉田名物「吉田うどん」の写真を。
硬い麺、だけど旨い。
この日、歌旅座メンバーがステージに立てたのは、
会場入り前に食した吉田うどんのおかげであります。
IMG_0846



おまけ。
ホールのロビーから一望できる
富士山の写真をご覧ください。
とはいっても、ずっと雲の後ろに御隠れになっていたので、
歌旅座の舞台担当であるダル君に、富士山のお姿を
写真の上から描いてもらいました。
IMG_0856



それでは、ごきげんよう。





 
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

司会太郎です。

この度はご冥福とお見舞いを申し上げます。


今回の地震はいろいろと思い知らされました。
列記してみますと——
◯北海道は直下型地震に対して脆いこと
◯真冬であったら、被害がさらに甚大であったであろうこと
◯スマートフォン・携帯電話は、現代では不可欠な生命線であること
  ◯自衛隊や消防局からと称するデマ情報が多数発信されていたこと
◯こういう時にはラジオがやはり有効であること
◯自動車はラジオ・冷暖房も利用でき、スマホも充電できること
◯でも、停電時には立体駐車場が動かず、自動車を利用できないこと

まだまだありますが、当たり前のことも含めた
備忘録と無防備への戒めとして。



1週間が経ちます。

テレビ局の報道も、被害の大きいところだけではなく、
日常に戻った人々にも焦点を当てて良い頃でしょう。
その点、ラジオ局は数日前から新店舗情報やグルメ情報やってたり。
こういう番組づくりが意外と和みます。



ところで、東日本大震災の頃でしょうか、
被災者を励ますつもりで「頑張れ」と声をかけるのは
「頑張ってる人」に向けていう言葉ではないと
議論が巻き起こった記憶があります。

たしかに。
マラソン中の選手に沿道の観衆が
「頑張れ」と声をかけたところで
「いま頑張ってるだろ」という
反応になるのは当然かもしれません。

北海道歌旅座も全国各地に伺いますが、
被災後の市町村を訪れることもあります。
まだまだたいへんな状況でも
わざわざ歌旅座のコンサートを
観にきてくれるわけですから、
地元の方にかける言葉を考えてしまいます。


そこで、こういう言葉の交わし方はいかがでしょうかね。
「お互いに!」って。
励ます側も、励まされる側も日々頑張っているわけですから、


「こんにちは」という挨拶も、
「今日は」の後に「カクカクシカジカ」と続いていたのでしょう。
「お日柄もよく」「いい1日でありますように」。

「お互いに」であれば、その後に続く言葉も
「頑張りましょう」でもいいし、「励まし合いましょう」でも。
あるいは、「ガンガンまいりましょうね」とか、
「ツライこともあるし、まあ、いろいろありますけれど、
 元気で生きていかなければなりませんね」みたいに。
マラソン選手などのアスリートには使いづらいけども。




北海道、まだ全面復旧していません。
震源地のそば、司会太郎の実家も近いところにあります。
一族は無事。

だけれども、ご当地の一部、
いまだ満足に自宅で入浴できない友人もいます。
とはいえ、メッセージが行き交うところをスマホで追っていると、
たくましい限りですよ。
「ウチで風呂入れるよ」
「布団があるからいつでも泊まりに来てね」
「あそこの店で、アレ売ってたよ」
互助と協力、情報交換が活発。


北海道歌旅座、今後も全国にコンサートをお届けいたします。
それは、今の北海道のことを直接お伝えできる機会。
そして、各地のお客様からの元気を北海道に持ち帰ることができます。
これこそ、歌の旅一座の冥利に尽きるわけです。


では、最後に、ウチの事務所に生息しているニャンコ先生の
色っぽくも悩ましい寝起き姿の写真で和んでください。
オスですが。

Kuro-the-Cat

それでは、お互いに!
ごきげんよう。







    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

ごきげんいかがですか。
司会太郎です。 

9月、別名で長月。
夜が次第に長くなっていきますね。
仕事や家事を片付けて、自宅で映画を観るには良い季節。
いや、別に春夏冬でもいいけれど。

僭越ですが、いくつかオススメの映画を紹介させてください。
秋の夜長を楽しむ参考になれば幸い。
ほら、秋っぽい感じのテーマでしょう。

映画のあらすじ紹介としてアマゾンにリンクを張っておきますが、
アマゾンから司会太郎には一切の金銭は支払われません。
でも、今回の記事も広告宣伝っぽいことは否定できません。


180902image


[1]失われた週末 (1945年製作)
主演=レイ・ミランド 監督=ビリー・ワイルダー
アル中は怖いよ、という映画。
主役の作家がアル中なのだけど、
酒が欲しくて欲しくて、もうたまらんという演技が
陰影の強い白黒映像と相まって強烈な印象。
中学生の時、深夜のテレビ放送で観てブッとんだ記憶が。
今でも酒を飲むと、映画の題名と映像が断片的に頭をよぎります。
でも飲み続けていると、そんなことは忘れちまいます。
大根役者と称されていたミランドがアカデミー主演男優賞獲得。
アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞も受賞。
同じワイルダー監督の『アパートの鍵貸します』も大推薦。



2スパイナル・タップ (1984年製作)
主演=クリストファー・ゲストほか 監督=ロブ・ライナー
架空のロックバンドを追ったニセモノドキュメンタリー。
いわば、ロック/ヘビーメタルバンドを馬鹿にした映画。
例えば、スパイナル・タップ のドラマーは早死にすることが多く、
その死因が初代の場合「園芸中の奇妙な事故」だったり、
2代目は「他人の吐瀉物をノドに詰まらせた」
3代目「自然発火」、4代目「舞台で爆発」など。
この映画のみどころは、過去の有名なロックバンドを
パロディーにした笑いの数々と、出演者によるアドリブの応酬。
物語の流れだけが決められていて、セリフや動きはすべて
出演者の即興に委ねられていたそうです。
これによって、当時の音楽業界とドキュメンタリー映画を
同時に風刺している不思議な作品です。
アメリカ議会図書館に永久保存されている映画でもあります。
これを言い換えれば、国会図書館にクレージーキャッツの
『ニッポン無責任時代』が永久保存されているようなもの。

主演のひとり、クリストファー・ゲストはのちに映画監督として
ニセ・ドキュメンタリーを多数発表。
なかでも、60年代のフォーク歌手たちが現代に同窓会コンサートを
おこなうという設定の『みんなのうた』もぜひ。



3無法松の一生 (1958年製作)
主演=三船敏郎 監督=稲垣 浩
福岡県小倉(現・北九州市)を舞台に、無学で粗野だけれど
優しい心意気を持つ「無法松」こと富島松五郎を三船敏郎が演じています。
この映画は戦時中の1943年にも稲垣監督が田村正和のお父ちゃん、
阪東妻三郎を主役に据えて公開していますが、当局に
「戦時下にふさわしくない」と一部がカットされてしまいました。
これは同監督自身による完全版です。泣けます。
その後、三國連太郎、勝新太郎の映画、さらにテレビドラマや舞台で
何度も無法松は演じられてきました。
観たのは三船版と阪妻版だけですが、どちらも甲乙つけがたい傑作。
イタリアのヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)、受賞。



以上の3作品。いかがでしょうか。
レンタルビデオ店や販売店、
ネットサービスで見つかると思いますよ。
テレビを観るときは、2メートル以上離れて部屋を明るくしてネ。


では、ごきげんよう。




 
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

ごきげんいかがですか。
司会太郎です。

北海道、秋に突入した模様です。
空の雲の形、朝夜に感じる風、増進してきた食欲。
秋です。


先日、NHK BSプレミアムで『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』という
ドキュメンタリー番組を初めて観ました。

過去に起きた国内外の大きな出来事を関係者の証言や資料を通じてその裏にあるもうひとつの物語(アナザーストーリー)を紹介するというもの。

この番組を調べたら、過去の放送内容はあまりにも多岐にわたっています。
各回のテーマを簡単に挙げると——
ダイアナ妃の最後の恋、ベルリンの壁崩壊、コロンバイン高校銃乱射、
燃えよドラゴン誕生、ビートルズ初来日、リーマンショック、
あさま山荘事件、チェルノブイリ、日航機墜落、タイタニック号、
山口百恵、マリリン・モンロー、皇太子ご成婚、エマニエル夫人、
ザ・MANZAI、ケネディ大統領暗殺、「仁義なき戦い」、「男はつらいよ」、
よど号ハイジャック、美空ひばり、ウルトラセブン、東大安田講堂事件、
ハドソン川の奇跡、9.11、3.11、田中角栄、 タイガーマスク、山一証券破綻、
アポロ13号、日活ロマンポルノ、超能力ブーム、冬のソナタ、日本国憲法、
北朝鮮拉致、オグリキャップ、野茂英雄、山口組対一和会、 女子プロレス、
フェイスブック、カーペンターズ、ハリー・ポッター、古今亭志ん朝、
ベン・ジョンソン、沖縄返還、オイルショック、フセイン拘束、
オバマ大統領、 羽生善治、長嶋茂雄、手塚治虫、オードリー・ヘップバーン、
ゾンビ誕生、紅白歌合戦、 007誕生の真実、広島カープ、エリザベス女王、
チェ・ゲバラ、ベトナム戦争、 スヌーピー、M資金、ガガーリン、IPS細胞、
We Are The World、消費税……。

めまいがしそうです。
硬軟不問の「もうひとつの物語」。
あさま山荘スヌーピーですよ。
エリザベス女王エマニエル夫人なんですよ。
別に「と」でくっつける必要はないのですが。
NHK、攻めまくっています。
この番組の存在をもっと早くに知っていればよかった。


先日、「CD開発〜不良社員たちが起こしたデジタル革命」という
テーマが放送されると知って録画したわけです。
北海道歌旅座もCD音楽作品を製造していますので、
無関係ではありません。なので、観ました。
cdsz

世界初のデジタル録音機を開発したNHKの音響技術者だった人物が、
1971年、ソニーに引き抜かれるところからはじまります。

彼は、その開発した録音機が巨大過ぎて
まともに使いこなせないと悪評がたち、
NHKにいづらい状況になっていたのだそう。

そして、ソニーではデジタルオーディオの
開発プロジェクトチームを結成します。
そのメンバー14人はいずれも社内で
「不良社員」と呼ばれていた人たち。
例えば、上司を上司と思わない、
傘がないから雨に日は出社しない、
八代亜紀のレコード「なみだ恋」
毎日のようにオフィスで聴く
——不良ではなく変人たちですね。



簡単に言うと。
従来のアナログサウンドは、
音の波をレコードなどに記録して、
それをレコード針でなぞって音を再現します。
しかし、レコードやカセットテープは
針などの部品を直接に接触させて
連続した電圧の信号を読み取りますが、
磨耗や劣化して音質が悪化していきます。
デジタルサウンドは音を信号化、
それさえ読み取ることができれば、
磨耗や経年劣化がなく音質を未来永劫にわたり
維持できるという革命的な技術。
簡単に言いました。



1976年。
ついに登場したのが
PCMプロセッサー
というデジタルオーディオ機器。
ビデオテープにデジタル録音するというもの。
(その前段階の試作機で初めて録音したのが、
 八代亜紀の「なみだ恋」)

話題沸騰、マスコミにも取り上げられ、
努力が報われたと安堵したのもつかの間、
利用者から猛烈なクレームが寄せられたんですと。
デジタル信号を誤って読み取ってしまい、
雑音の発生が頻発すると。


ソニーも怒り心頭。プロジェクトは解散の危機。
彼らは徹夜に次ぐ徹夜で機器を改良して、
さらにはある秘策を考えました。
世界的有名指揮者であった
ヘルベルト・フォン・カラヤン氏に接触を試みます。
来日したカラヤンの公演リハーサルを「盗み録り」。
本人の許諾なく無断録音しちまったのです。
当時の盛田ソニー会長の自宅を訪れていた
カラヤン本人にそれを聴かせると烈火のごとく怒り狂い、
「音を盗んだってえのか、てめえ」的な
勢いで担当者を責め立てたそうです。
しかし、聴いているうちに次第にそのサウンドに心奪われ、
賞賛に変わり、最終的にその機器を「欲しい」。
ソニー内部で評判が悪かったこのプロジェクト、
以降、後ろ指をさす者は激減。


また、米国の天才音楽アーティストとして知られる
スティービー・ワンダー氏もお墨付きを与えたひとり。
彼は自身で音楽編集もしたかったそうですが、
従来のアナログ編集は録音されたテープを
カッターで切断して貼り付けていくという方法。
目の不自由な彼はそれができない。
のちにソニーが発売したデジタル編集機器で
それを実現することができました。



そして、
「コンパクトディスク(CD)」の誕生
オランダの世界的家電メーカー、フィリップス社が
ソニーと共同でCDの開発を開始。
様々な仕様は両社のあいだで侃々諤々の中、決められていきました。
12センチという直径サイズ、可能録音時間74分というCDは、
フィリップス社が11.5センチを主張していたものを、
ソニーの不良社員がそれを受け入れることは「癪にさわる」から
半ば強引に12センチで決定させたとのこと。
後付けの理由として、たいていのクラシック音楽や
オペラの一幕がCD1枚に収まるのが74分を収録できる12センチ。
11.5センチだと60分しか収録できないらしい。


CDは1982(昭和57)年に発売。
世界初のCDアルバムのひとつは、
ビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』
当時の価格3500円。
ソニーのCDプレーヤーは168,000円。


番組では、ここで音楽プロデューサーの
松任谷正隆氏が登場。
ユーミンの旦那さんですね。
奥さんのアナログレコードがCDになって発売されて、
その音の「スカスカ感」にガッカリしたといいます。


実は、アナログの音は普通の人間では
聴こえない音域も記録されていたため、
ふくよかな情感を表現していたその要素が
CDではその音域はすべてカット。

デジタル時代になってCD用の
サウンド創りに試行錯誤したそうです。

技術が向上した今から10年前に、
CDとアナログの音の差が
やっと無くなったと実感したのだと。




70年代から本格化したデジタルサウンドは、
今や誰しもが利用しています。
スマートフォンや地上デジタルテレビ放送で。
私たちが日頃に慣れ親しんでいるコトやモノは、
多くの先人たちが技術を築き上げ、磨き上げたのですね。
さて、将来のオーディオは如何なるものに?


と、まとめましたが、ある意味でNHKの番組宣伝。
北海道歌旅座のCDもこちらで好評発売中。



CDの、もうひとつの物語は球場で。
現在最下位。↓
cd-capz



ごきげんよう。



    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

ごきげんいかがですか。
司会太郎です。


北海道は夏の終わりを感じさせる涼しさ。
とはいえ、全国的には暑い日はこの先も続くことでしょう。 

夏の季節、悩ましいといえば、蚊やハエなどの昆虫です。
仲間内では、私は無類の昆虫嫌いとして知られています。
毎夏、この件に関してブログ記事にしているぐらい苦手なのであります。

そこで、今回の「司会太郎の視界良好」は夏休み・お盆特別企画
晩夏の怪談話をお届けしましょう。

なお、これからお話しする物語は、
大学時代の友人であったQ君実話を再構成したものです。
二十数年前に本人から聞いたときは、全身の血が凍りつきました。
衝撃が強いため、心臓の弱い方は主治医の立会いのもと
お読み進めていただきたい。意外と長文です。

------------

Q君は地方出身者。
札幌の片隅の古ぼけた小さなアパートで
自炊生活をしながら高校へ通っている。
ありがたいのは、不定期に実家から送られてくる食料。
インスタントラーメンや野菜、冷凍された肉や魚など。
外食する余裕はないから、不器用ながらも料理をするようになった。
バブル景気の恩恵は、地方出身の学生には与えられない。

夏休み到来。
この夏はアルバイトせずに、
実家でゆっくりと過ごすつもりだ。
友人たちにも久しぶりに会える。
期待に胸をふくらませて長距離バスに乗り込んだ。

この年の夏は、暑かった。
北海道でも、例年以上の暑さが続いた。
3週間後にQ君が札幌に戻ってきた日も、
めまいがするほどの気温の高さ。
必要以上に持たせてくれた食材と
たくさんの夏の思い出を詰め込んだカバンを引きずるようにして、
汗が止まらないままのQ君はアパートの玄関にたどり着いた。

ドアを開けると
、部屋にこもっていた熱気が
一気にQ君を押し戻そうとした——奇妙な臭気とともに。
Q君は歩みを進めて靴を脱ごうとした。

「おや?」

Q君はリビングルームの板の間(フローリング)の模様が
以前とは違うことに気づいた。
木目の模様に、無数の白い斑点が加わっていたのだ。

留守の間に大家さんが勝手に入室したのだろうか。
それとも、米かパン粉の袋でも倒れたかな。
でも、どちらも考えづらい。綿ゴミでもなさそうだ。
Q君は床まで顔を下げて、さらに目を凝らした。

「うごいてる」

君はここで1度、死んだ。
その光景は彼の人生で空前絶後だった。
クワガタやトンボを追いかけた日々は急速に色褪せた。

意識を
戻したQ君は、もう一度見なくてはならなかった。

無数の白い斑点は、そのすべてが動いていた
しかも、玄関に立ち尽くすQ君に向かって
それらが向かってきているのだ。
ここでは、それらを「ウー」と呼ぶことにしよう。

ウーたちは、大量にいた
30センチ四方に58匹はいたという。
フローリングの板がちょうど30センチの色違い——
チェス盤のような構成になっていたから数えてみたらしい。
8畳のリビングルームだったから、その数は著しいものになる。
大袈裟にいうならば、地平線に至るまでの大地は
すべてウーたちに覆われていた
あたかも、ハリウッドの大作映画のコンピュータグラフィックスだ。
でも
、当時はそんな考えは及ばないし、そんな特殊技術もない。
現実がそこにあるだけだ。

ほんの1区画だけではあるが、冷静にウーを数えたQ君は、
ここでやっと、カバンを静かに玄関に下ろした。
暑さのための汗は、冷や汗に変わっていたという。
その違いをどこで判断したかは不明だ。
そして——

「このままでは、部屋に入れない」

玄関に立ったまま、30分は対応策を考えていたそうだ。
そこには、古い言い方だが下駄箱があり、靴があり、傘がある。
部屋には上がれない。
殺虫剤を買いに走るという考えもあるが、
蚊やハエなどに効果はあっても
ウーたちに直接効く薬剤があったかは、
この若者は知らなかった。
そもそも、そこにある危機を放置して買いに行けなかった。

靴で踏み潰す? 傘で叩き潰す?
Q君はこれらの方法も検討したが、実行しなかった。
あまりにも残酷だし、その後処理は想像したくない。
この危機をどう乗り越えるのか。
007ことジェームス・ボンドなら、この危機一髪(発)を
どうするのだろうか。

「あ」

Q君は閃いた。
下駄箱から、とある缶を引っ張り出した。
カバンから友人たちと花火で遊んだ際のライターを探し当てた。
靴の防水スプレーと火で、簡易火炎放射器の準備ができた。
かつて、テレビの金曜ロードショーか、日曜洋画劇場だかで観た
007映画のように、炎でウーたちを撃退するのだ。
踏み潰したり叩き潰すのと残虐性はそんなに変わらないのだが、
Q君にとっては、もうどうでもいいことだった。
(この方法は危険を伴います。良い子も悪い子も真似しないように)


果たして炎は放たれた。
Q君の直近までに迫っていたウーたちは......。

Q君は動かなくなったそれらを口でフウーッと吹く。
それらはスウーッと四方に分散移動する。
空間は確保され、26センチサイズの右足が偉大な一歩を記した。
ただ、どうしても爪先立ちとなってしまうのは避けられなかった。

火炎放射は続き、一歩、また一歩とQ君はリビングを進んだ。
そして、ついに掃除機に手が届いた。
電源を入れ、動かなくなったウーだけを慎重に吸い込んでいく。
生きたままを掃除機に入れるのは、その後を考えると避けるべきだ。

終わった。
時計を見ると、玄関のドアを開けてから
2時間40分を経過していた。
隅々まで確認した。動くものは、もう何もない。
疲労困憊のQ君は、異様な空気が沈殿する部屋の中で
なおも爪先立ちしていた。
その時、こう思ったという——

「これは俺の勝利ではない。勝ったのは奴らだ」

その夜は、友人宅に宿泊した。

Q君は、翌朝、おそるおそる帰宅して問題ないことがわかると
安心してすべての窓を開放し、ベッドに寝転がった。
たとえウーが再び現れてもベッドまで上がってこられまい。
ため息交じりの深呼吸をすると、悪臭が漂ってきた。
外からではない。臭いの発生する方向を探った。
すぐそばだ。頭だけを下ろしてみた。

「これかア!!  あゝ!!  嗚呼〜ッ!!」

視線の先はベッドの下。
ビニール袋に入った茶色の物質。
夏休み前に実家から送ってもらった鮭の切り身だったモノ。
冷蔵庫・冷凍庫に収まっていなければならないのに、
どういうわけか、ここにある。
そして、濁った状態のビニール袋の中に
何か蠢くものが——。

Q君は身体を反らせて目を見開き、
息が続く限り叫んだ
息が止まれば、また大きく吸い込んで叫んだ。
それは、近所全域に、そして札幌市の一部地域、
具体的には豊平川から国道36号線にかけて
いつまでもいつまでも響き渡ったという。

(終わり)

------------


いかがだったでしょうか。
少しは納涼気分を味わえましたか。
自分でここまで書き連ねてきた私は
現在、背筋が凍っています。

ところで、この話には後日談があります。

Q君は、東京の大学を目指していましたが諦めました。
なぜなら、ゴキブリがいるから。

北海道の家庭には基本的に現れないとされています。
Q君はどういうわけか、ゴキブリを昆虫帝国の帝王、
ウーを女帝であるとみなしていました。
どういう国家構造を想像しているかは常人には不明ですが、
そう思い込んでいる彼は、東京以南の生活は難しい。


では、その後のQ君は。
札幌で銀行に就職して活躍していたところ、
大阪への転勤を命じられた直後に退職しました。

その数年後、共通の友人が
成田空港で久しぶりにQ君と再会。
Q君のほうから声をかけてきたそうですが、
すっかり白髪となった彼の容姿に友人は驚いたとのこと。

Q君はアイスランドの首都、
レイキャビークに旅立つところだったそう。
そこへ行く理由を尋ねると「北海道より寒そうだから」
そして最後に、次の言葉を残して機上の人となったそうです。

「自然は、復讐する」

友人はそれを聞いてゾッとしたそうですが、
私にはQ君の言葉の意味がわかるような気がします。


皆さんも、自然には気をつけて。

バナナの皮を適切に処理しないと、
ショウジョウバエがやってくるぞ。
mushimushi
こんな可愛らしい昆虫はいない。
また、本当にこんな顔をした昆虫がいたら、
あなたならどうしますか。
私なら......夜尿症になるか、
ブログではお伝えできないことをします。


 
ごきげんよう。


 
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

このページのトップヘ



© DMJ, INC. ALL RIGHTS RESERVED.