北海道歌旅座コンサートスケジュール

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カテゴリ : 北埜うさぎ

ここしばらく 寝込むほどの風邪をひいていない。
ありがたいことだ。
どういう訳か、皆がツアーに出かけ 誰も労わってくれる(?)人
が居ない時に限って、高熱を出したり、肋骨を痛めたりする
ことが多いのだが、それもここしばらくはない。
ありがたいことだ。

そういえば 風邪で寝込んだり、体調不良になると何故か
食べたくなったり、あるいは 食欲をなくした身体のために
小さな頃から「これだけは」と食べさせられたりしたものが
いくつかある。
勝手に"癒し飯”と名付けて 2~3思い返してみた。

・缶詰のみかん
ある年齢以上の方は 「そうそう、わかるわかる」と仰るのでは?
高熱で身体も熱く、喉の痛みで食欲が落ちている時に
甘く・冷たく・やさしい味のみかんとシロップは、つるんと
喉を通り、何だかとても大切にされているような気持ちに
なって、風邪をひくのも悪くない、なんてちょっぴり
思ったものだ。

・鍋やきうどん
病気=おかゆ、というのは定番だろうが、おかゆを好まない私
にとっては、やわらかく煮込んだうどんが一番の栄養源だった。
元気な時は、ご飯にしても麺類にしても硬めが好みだが、
鍋やきうどんに限っては、三河屋風の濃い目のつゆで
くたくたになるほど煮込んだ熱々のうどんを 少しずつ
少しずつ食べて汗をかき、おなかも落ち着かせて元気を
取り戻していく。
ちなみにこの鍋やきうどんは、元気な時でも 真夏の暑い日でも
定期的に食べたくなる私の一人飯。

・くず湯
ひどくお腹をこわしたり、全く食欲がない日が続いた後に
回復の兆しが見えると、よく くず湯を食べさせられた。
今なら 吉野葛の葛粉を使い、抹茶や生姜・フルーツ風味など
和のスイーツとして色々な物が売られているが、
小さな頃のそれはただ片栗粉と砂糖を少量の水で練り
そこに熱湯を注いで一気にかきまぜた重湯のようなくず湯
だった。まるで赤ちゃんの離乳食のような、頼りない(?)
薄い甘味は決して好物ではなかったが、間違いなく
病の身体を癒してくれた。

・生姜ごはん
これはどちらかというと病気、というより夏バテした時のように
元気ではあるけれど 何だか食欲がない…という時のもの。
すりおろした生姜にお醤油をまぜて炊きたてのご飯に
のせるだけ。そのうえに かつおぶしと刻みのりをかけて食べる
というインスタント癒し飯であり、これも誰もいない時の
一人飯。
生姜好きな方なら是非お試しあれ。

まだまだ あれもこれもあるなぁと 書き進むうちに次々と
心に浮かんでくる。
おそらくは誰にでもあるであろう、その人なりの癒し飯。
身体も心も元気が何よりだけど、思いがけず弱ってしまう時は
どうしたってある。
通常の食は、元気を維持し 作っていくもの。
"癒し飯”は元気を取り戻すお手伝いをしてくれるもの。

夏空が秋空にかわり、長く寒い季節に向かっていく。
ひきたくない風邪も そろそろひくかもしれない。
だとしたら、寝込むほど悪化させないためにも 今一度
"癒し飯”の材料の在庫をチェックしておくことにしよう。
久しぶりに くず湯でも食べてみようかな?

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画:ヂュンコゲイブリエル

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ギョーザ。
ラーメン。
ウィンナー。

私にとってのTOP3。
何の?と書きかけて、なんだか堂々と書き進めるのが情けなく
気恥ずかしくなるのだけど…、ま、いいか。
スーパーでの試食販売で素通り出来ないのが上記の三つ。
試さなくたって味は知ってるし、家にまだ買い置きだってある。
なのに、なのにいつだってついつい手を伸ばしてしまう。
ラーメンに至っては試食の数が私まで回りそうになかったら、
さりげなく立ち去り、意味なく他の売場をチェックしながら
タイミングを見計らい また戻ってゲットする。
あーーー、やだやだ、恥ずかしい。
恥ずかしいことを今書いてるんだな、私。
でもね、あの爪楊枝が添えられ おままごとのような容器に
入れられたあのひと口が絶妙に美味しいのですよ。
できるならあとふた口ほど頂きたいが、そこはほれ、大人
だから(当たり前だ!)、"あら、なかなか美味しいわね、
どうしようかしら?でも あとひとつ決め手に欠けるわね”
などと思っている風の、ほんの少し小首を傾げ、うっすらと
笑みを浮かべ、『淳子夜想』ならチョイ役で出られそうな小芝居
をしながら、そっと立ち去る。
とは言え、そこはやはり気の弱さ?三回に一回は買ってしまい、
買い置きが増え、あーまた高いひと口になっちゃったな、と
後悔する連続。
幸いに消費しやすい食材なのでそう無駄にすることはない
のだが、我が家の冷蔵庫には必ずこの三品はあります!!

試食といえば、各地の物産展。
以前、東京に住んでいた時の話。
エリアだった吉祥寺の百貨店で北海道物産展が開かれた。
どこのデパートでも北海道物産展は大人気で、美味しいものを
目当てに多くの人が集まるが、故郷を離れた いち道民にとっても
懐かしい味や地名に触れたくなる嬉しいフェアだ。
かなりの空腹で出かけた私は「あ~、この分だとあれこれ余計な
ものまで買っちゃいそうだな」と思いつつ会場に足を運んだ。
その日は、開催から数日たっていることと、時間も早かったので
思いの外、お客が少なめだった。
二~三、売場をちら見した先にラーメンのコーナーがあった。
北海道物産展でよく見かける光景なのだが、地元では
あまり見かけない商品が並んでいることがある。
特にラーメンには その手が多く、この日のラーメンも私には
初めての商品だった。
興味と空腹に足をとめると 天使みたいなおじさんが
"おねーさん(この一言に弱い…)食べていって!!”と
差し出してくれた試食の器が、これが試食とは思えないほど
大きい。
使い捨てプラ容器だけど BBQのタレ容器ほどの大きさがある。
熱々の正油ラーメンが美味しくってペロリと平らげにっこりと
微笑むと おじさんの天使心が刺激されたのか "ほれ、おかわり”
"いや、もう一杯”と次々に入れてくれる。
さすがに五杯食べきったところで「おじさん、もうお腹いっぱい
だから他のところを見てくるね」というと「あー、行っといで
行っといで腹ごなしして戻っておいで」と心よく送り出してくれた。
あんなに空腹だったのに なみなみ五杯のラーメンで、もうどの売場
を見ても食欲も購買欲も湧いてこない。
普段ならつい余計に買ってしまいそうな美味しそうな海産物も
肉料理もスイーツも全てが色を失ったように見える。
結局あきらめて、一言 おじさん天使に御礼を言って帰ろうと
売場に戻ったら「おー!帰ってきた帰ってきた!!」と大天使に
昇格したおじさんがすかさずまた一杯差し出してくれちゃった。
断ることも憚られ、やけになった私は 満開のサクラになった気分で
側を通る人々にはっきり聞こえるように "美味しい、美味しい”
と連発しながら、そこからまた四杯。
もう試食の域を超え、換算すると普通のラーメン二杯分以上を
食べきることとなった。
もはや 苦しさしか感じられない状態。

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もう見たくもない程なのだけど、やはり買わなきゃ…と商品に
手を伸ばしたら大天使のおじさんが「買わなくていい。買わなくて
いい。そんなもん 無理して買わなくたっていい!」
その時 おじさんは"神”となった。
押し問答の末、何とかラーメン二食分を購入し、後光差すおじさん
から逃げきったのがちょうど秋に向けての今のような季節。
あんなにお腹一杯な試食は後にも先にもない。
商品名すら忘れてしまったけれど、ラーメンの試食コーナーを
見ると思い出し、普通のおままごと容器の試食にほっとするやら、
ちょっぴり残念に思うやら…。

各地の物産展巡りも回を重ねれれば、ほぼ知った味ばかりになる
ので 本来の試食の魅力は薄れてしまってはいるが、ほんのひと口
の美味しさ、幸せが購買意欲につながり、そして "美味しかったから
誰かに食べさせたい”と皆を招いての賑やかな食卓につながる。
そうだ!!
私のこの食い意地の張った試食癖は きっとJUNCOやチエや
メンバーの胃袋を優しく満たすためにある大事な行程のひとつ
なんだ。
と、大義名分がついたところで どうか皆様、スーパーのラーメン
売場の周囲を挙動不審にウロついているうさぎを見かけても
声をかけずに あたたかく見守って下さいませ。

ちょうど今、札幌では 東北と、江戸老舗めぐりの物産展が
開かれている。
明日にでもチラシをもう一度チェックして試食に、いやちがった
何か美味しい物を手に入れに出かけることにしましょ。
みんなのために…ね!!
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今日19日は休養日。
彼らはゆっくり休めているのか。
はたまた ようやく見えてきた頂点を目指し、その前に
越えねばならぬ明日の闘いのために、さらなる汗を
流しているのか。
そう、記念となる第100回目 夏の甲子園。
残る日程は 明日準決勝、そして明後日決勝のあと二日。
今年のドラフトの目玉と言われているあの選手やあの選手は
自分の思い通りの結果を残せているのか…。

自分が得意分野ではない分 スポーツ観戦が好きで、
分けても野球はトップクラス。
プロ野球熱もかなり旧いが、それより以前、高校野球に
関しては小学校低学年から 春も夏もできる限りTV観戦してきた。
プロに入り、華やかに活躍し、そして去っていった多くの
スター選手達の甲子園での勇姿もリアルタイムで見てきたものだ。
何せ 小学校から見ているから 出場している選手達は
私にとって皆 "お兄ちゃん”。
その感覚が強かったから 何故か三十路近くまで 画面に
映る高校球児の姿は はるか年上になっても "お兄ちゃん達”
でしかなかった。
当時 その感覚を友人に話したら "何を馬鹿なことを…”
と笑われたっけ。ごもっとも、ごもっとも。
流石に 監督でさえ年下が多いこの頃は "そんな時代も
あ~ったね♪”と苦笑する、懐かしき甲子園の想ひ出。

まずはやはりあたり前に地元の出場校を応援するが、残念
ながら敗退した後に、そこから応援するチーム・お気に入りの
選手を見つけるのが楽しい。
中・高生の頃は どこかアイドルを探すような視線もあったかな?
でも、そこから先はやはり どんな試合をするのか、負けたら終わりの
戦いの中、一球に泣き笑いするその姿を追ううちに、自然と
力を入れて見てしまうチームが出来てくる。

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そう言えば、母は兵庫県尼崎の生まれだが、私がまだ
"バブバブベぃびぃ”の頃に亡くなった母方の豪傑な祖母がやはり
高校野球好きで 西宮の甲子園に通っては どのチームも応援し、
試合後は球児が引きあげる通路に走り、泣きながら通る負けたチームに
『来年も来いよ~~~!』と、自分も泣きながらいつもいつも
声をかけていたらしい。
血?血なのか?

『前へ!前へ!』という曲を書いた。
当時、北海道にもプロ野球の独立リーグを、という話があって、
具体的ではないが その応援歌を…という うっすらとした
話の中で書きあげたのが この曲だった。
小さな頃から好きだった高校野球。
そして10代の終わりからのめり込んだプロ野球。
その一球、その一打から生まれる涙が見せてくれる世界が
私にとっての『前へ!前へ!』だった。

高校野球にもプロ野球にも思いを綴ろうとすると駄文に
拍車がかかるので、またいつか機会があれば、的を絞って
書かせてもらおう。

入場行進・開会式・選手宣誓で始まり、そして歓喜と無念の
涙から一転、優勝・準優勝校の全選手で行う国旗・大会旗の
降納(これは2000年まで行われていた。諸事情により現在は
全員で所定の位置から見守る形になっている。残念ながら…)
まで見届けてこそ球児たちとうさぎの夏は終わる。

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さあ、あと二日。
敗者の涙も背負った4チームよ。
握りしめたその拳で自らを奮い立たせて その一球、その一打に
前へ、前へと向かっておくれ。
第100回メモリアル高校野球の頂点に向かって、
Just  Go!!
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一瞬だけ迎えた猛暑のあとは 雨模様のパリッとしない日が
続いているが、おそらくは もう間もなく、北海道にも
夏らしい日々が戻ってくるだろう。
夏らしい暑さ…夏らしい味…
ふと、私にとっての"夏らしい味”って何だろう、と
考えたある日の昼下がり??

う~ん、
以前ブログに書いたような気もするが、スイカはとりたてて好物
ではない。
スイカに限らず、果物全般にさほど心踊らされはしない。
色が綺麗だな、とか 可愛らしい形をしているな、とは思うのだが
「食事の後はフルーツでしょ!!」とはならない。
今は 身体のために毎朝、ちぎったバナナにやわらかいお酢を
ブンブンふりかけて食べているが(ゲッ!って思われた方々、
確かに慣れるまではゲッ!なものです)これはもう薬代わり。

冷麦?
我が家では夏はもちろんだが、真冬の乾燥した暖かい部屋で
薬味たっぷりと食べる冷麦は、その冷たい喉ごしが絶品で
一年中食べられるよう用意してある。

その逆に 暑い暑い日に ぐらぐら煮えたぎる土鍋一面に
唐辛子をいっぱいふりかけて頂く"鍋焼きうどん”もまた好物で、
役に立たない訳ではないのだが、さながら食の『夏炉冬扇』
と化している。

かき氷?アイス?トマト?うなぎ?う~~ん…。
と考えてたどりついたのが、一番ベタなものだった。
とうもろこし。
やっぱりこれだな。
今はいろいろな物が季節を問わず手に入るし、夏冬に
とうもろこしも見つけることが出来るかもしれないが、
今のところ私の瞳には入ってこない。
函館で過ごした小学生時代。夏休みのおやつは 母が朝市で
買ってきた実がプリプリしているとうもろこしだった。
毎日だと飽きてもくるが、あの茹でたての香りには
飽きることがなかった。

とうもろこしに限ったことではないが、昔に比べて種類も増え、
どんどん甘味が強くなっている。
中には生で食べられる、果物のように甘味の深いものもある。
以前は大鍋で10本単位で茹でておいて保存していたが
今は2~3本を早めに食べるようにしている。
地物が出回り始めたスーパーで、重さを比べ、ひげ根と皮の色が
濃いものを見極め、より美味しい物を!と選んでいくのは
闘いのようで楽しい。
見事お眼鏡にかなったとうもろこし達を、最近は
鍋で茹でずに、薄皮一枚残し適度な水分と塩をまとわせ、
電子レンジでチンする食べ方が気に入っている。
このほうが実がふっくらしていて味もより濃く感じる…ような。
昼食代わりに1本、夜バーボンのお供に半分。
爪楊枝をかたわらに置き、エゾリスが木の実を抱えて食べる
ように 大事に大事に小さな実を残さず食べようとする
至福の時間。
夏の間の小さな幸せ。

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(画:ヂュンコ・ゲイブリエル)

私にとっては、季節が過ぎ、店頭からその姿を消すと、
大きな打上げ花火がすーっと消えるように食べたい欲求が
消えていく夏だけの味。

お掃除や洗濯を終えてぽっかりと空いた昼下がりに
ぼーーーっと考えた夏の味。
それが"とうもろこし”だと気付いて 何だかとても腑に落ちて
すっきりした。
さぁ、今年は何回この夏の味を楽しめるかな?

皆さんにとっての"夏の味”は何ですか?
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北埜うさぎのトレードマークと言えば…
などとは気恥ずかしく、おこがましいので声高には言えないが、
"無駄に多いうねうね・くるくるの髪にニット帽"と思われる方も
何人かはいらっしゃるだろう。

昔から帽子は好きだったのだが、元来のものぐさ・ズボラな部分を
隠してくれる利点が幾つかあり、「化粧はせずとも帽子はかぶる」
これがもう うさぎの日常になっている。

私は頭がデカい。
そう言うと 真正面からはそれほどには見えないのか、あるいは
心優しき人々のいわゆる"忖度”というやつか、「そんなこと
ないでしょう?!」と言ってはもらえるが、いやいや、どうしてどうして。
前面は額が丸く広いおでこちゃん。
後頭部は、これはよく美容師にはいい形とほめられる「後ろでこ」タイプ。
小さな小さな頃は写真嫌いで、よくカメラを向けられると ぴぃぴぃ
泣いていたらしいのだが、短く刈り上げられた頭で、涙を〇水で
ぐしゃぐしゃになっているその頃の写真の仔うさぎはまるで
"空豆”だ。
載せないよ!
見せませんとも、そんな写真。ふーーんだっ!!

ほんでもって、小学校低学年の頃ついたあだ名が"でこっぱち”。
懐かしの赤塚不二夫作『もーれつア太郎』の押しかけ子分のデコッ八。
ま、さすがに もうちょっとは可愛かったけどね。

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(画:ヂュンコ・ゲイブリエル)

でこっぱちから長じても 小顔ならぬ小頭にはならなかった。
帽子好きではあるものの、つば付きのおしゃれな"ハット”は、
悲しいかな、物によっては 帽子を脱いだ時に孫悟空の頭の
輪のような跡が残ってしまう。
だから愛用のニット帽の殆どは 女性用ではなくメンズコーナー
で仕入れたものばかりだ。
気がつけば 何十個にも増えた帽子たちは もはや身体の一部
みたいになっている。

そう言えばーーーーーーー

私の父の世代は、外出する時には必ず帽子をかぶっていた。
昭和、いや昭和初期までに生まれた男性の多くは、外出時の着帽は
当たり前だったように思う。
夏は白いYシャツの袖をまくり、頭にはカンカン帽。
秋冬はツィードの背広にソフトな中折れ帽。

昭和 中折れ帽


玄関のコート掛けの上には 季節に合わせた帽子が
常にのっていた。
遊び心にその帽子をかぶると、当時父が使っていたポマードの
匂いが薄く香ったものだ。

父の帽子を思い浮かべる時、何故か同時に浮かぶのは、"ひょい”
という言葉だ。
国語辞典曰く、"ひょい”とは『身のこなしが軽いさま。
または 軽い調子で物事をするさま』を表す言葉。
出かける時は靴べらを使い革靴をはいた後、最後に"ひょい”と
帽子をかぶる。
帰宅すると玄関のコート掛けの上に"ひょい”とのせる。
外出先で気のおけない知人に出会うと "ひょい”と帽子を持ち上げる。
数日の出張から戻ると、お土産めあてに玄関まで出迎えた仔うさぎの
頭に"ひょい”と帽子をかぶらせてから、バッグからお土産を出して
くれたりもした。
今思うと、父達の世代にとっての帽子は お洒落というよりも、もっと
気楽な『嗜み』のようなものだったのかもしれない。

車社会になり、生活様式も変わり、男性も様々なヘア・スタイルを
楽しむようになった今、若い層を中心にいろいろなタイプの帽子を
かぶっている男性を見かけるようになった。
でもそれは、とてもオシャレなものが多い。
私にとっての、あの"ひょい”とした帽子は 懐しの昭和ノスタルジアだ。
旧き良き時代、などと大袈裟にくくる訳ではないが、父の帽子を
思い浮かべると、デジタル表示では測れない、ゆったりとした
時の流れが思い起される。

昭和のあたり前の日常に欠かせないものの一つとして 父の帽子は
"ひょい”と存在していたのだ。

私は 私の帽子をかぶりながら、
そっと目を閉じて、あの中折れ帽に香る、懐しいポマードの
匂いを想い出してみようかな。

そう、明日 6月17日は 父の日。
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